ARUKUKI ー「私には言いたいことがない」 季節のお便り ー Vol 3.
季節にあわせてわたしたちの近況をお便りにしてお届けします。
多くの出会いと別れのある季節「春分(しゅんぶん)」
季節にあわせて私たちの近況をお届けする「ARUKUKI ー 季節のお便り ー 」
本日は、2025年の「春分(しゅんぶん)」を迎えました。
「春分」とは、昼と夜の長さがほぼ同じになる日であり、自然をたたえ、生物を慈しむ日のこと。多くの出会いや別れもある春のお彼岸の真っ只中です。
みなさまのなかで出会い、別れようとしているものはなんですか?
サワディーカップ!
今回の季節のお便りを担当するのは、ARUKUKIの雄貴です。数日前からタイのチェンマイにきています。こちらは30℃を越える日々が続いており、春を越えて一足早く夏に突入した気分です。
私には言いたいことない
実は最近、スランプに陥っていると感じています。仕事は順調で、クライアントとも真剣に向き合っている。にもかかわらず、どこか心が晴れないのです。
「心が晴れない」という感覚は、特定の出来事から来たものではありません。たとえば、メールの返信をしていても、ふと「あれ?自分が何を伝えたかったんだろう?」と感じる瞬間が増えてきたからです。
目の前の仕事に対して誠心誠意向き合っている実感はある。でも、「自分の言葉で語るべきこと」が、ふと見えなくなってしまったのです。
最近は、いろいろな役割でお話をさせていただく機会も増えてきました。
コーチ、コンサルタント、ファシリテーターとして、イベントの登壇者やセミナー・研修のスピーカーとして、はたまた会社や組織の代表、我が家の夫、娘たちの父として。日常の中でさまざまな役割を通じて、自分のポジションとして求められる、その場に最適なお話をしているつもりでした。
そんななか、他者とのふとしたやりとりのなかで、「雄貴さんはなにが面白いと思っているの?」「奥野さんはどう考えているの?」
こう問われたとき、ふとわからなくなってしまいました。
はて?役割としてはわかるけども。私自身は本当は何が言いたいんだっけ?
そして、気づいてしまいました。
多忙な日常のなかで複数のペルソナをうまく使い分けて生きてはきているが、
「私には言いたいことない」
そう気づいたとき、これまで自分が発してきた言葉の数々が、どこか虚しく感じられるようになりました。
最初はその言葉を避けて通ろうとしていましたが、やがてそれが自分の言葉にできない違和感、空白を作り出していることに気づくことができたのです。
一度この考えに絡み取られてしまったあと、役割ではない自分が本当はなにが言いたかったのかかがわからなくなりました。まるで砂の城が崩れていくように、自分が何を伝えたかったのかがわからなくなったのです。
私にはビジョンもない
同時期に自分自身のリーダーシップについてのフィードバックをリーダーシップサークルプロファイルというアセスメントを受ける機会に恵まれました。
現在進行形または過去にお仕事やプロジェクトなどでご一緒したことのある20名の方に私のリーダーシップに関するフィードバックをいただくことができました。
(ご協力いただいたみなさまありがとうございます。レポート結果を振り返り、またご報告させてください。)
アセスメント結果を受け、また、フィードバックされた内容を見るなかで自己評価と他者フィードバックの認識の違いは面白いと思うことも多かったのですが、そのなかでも腑に落ちたのが、自己評価も低く、他者フィードバックも低い「目的とビジョン」という項目でした。
目的とビジョン:周囲に対して自分の目的とビジョンを明確にして伝え、それに対してコミット、体現し模範となっている度合いの指標
たしかに私の仕事術・処世術として、こだわりはあるが、目標はない。呼吸をするように、目の前の相手のニーズを汲み取りながら、大きな流れに身を任せるように生きてきている。
場を読み、ステークホルダーの顔色を伺い、バランスが良くなるよう最善手を打つことをやってきた反面、私には言いたいことがないだけでなく、ビジョンも持ち合わせていなかったのだ。
これは私が現状直面している発達課題だなと実感しました。
妻がダウンした
先日、妻がダウンしました。どうやら高熱があり、頭痛もひどいようです。
その日、私は東京へ1泊2日の出張を予定していました。
「昼間ゆっくり寝れば大丈夫だから。雄貴さんは出張頑張ってきてね。」
妻は気丈に応えてくれますが、しんどそうです。
いろいろな方が予定を調整してくれてお会いする予定なので、妻の言葉を額面通り受け取って出張に行ってこよう。そう思うもののなかなか準備が進みません。
たしかに仕事は大切だ。私が、妻の熱を下げたり、頭痛を緩和してあげられるわけではなく、ゆっくり寝てもらうしかできない。
しかし、目の前の愛する妻がしんどそうにしているときに、そこに居られないことに対する猛烈な葛藤を感じていました。そして、この心的違和感の渦が自分のなかでどんどん大きくなってくることを感じていました。
調整いただいたみなさまには申し訳ないけども、やっぱり出張は取りやめよう。
なにができるかわからないけども、家族とともにいることにしよう。
妻がダウンして、意思決定を迫られた。
些細なことかもしれないけれども、「目の前にいる大切な人との、情緒的で親密な人間関係をしっかりと生きる」自分のバリューや価値観のようなものに従って意思決定がてきたような手応えがありました。
そして、私には言いたいこともビジョンもないかもしれないが、大切にしている価値観はあること。それをしっかりと生きる覚悟は少しずつ育まれてきているのではないか。そのように思うことができました。
あなたへのオススメはわからない
少し話は変わるが、近所のカレー屋のご主人がすごいのです。
このカレー屋さんはご主人がひとりで営みながらも、数多くの種類のスパイスカレーやスパイス鍋などを取り揃えています。
ここのご主人は、まず声がやたらデカいということも、私にはないもので畏敬の念がありますが、さらにそれに伴う、勢いと力強さから産み出される(ときに)本質的な問いかけに私はよく考えされられます。
彼はお客さんに「オススメはなんですか?」と聞かれると
「あなたへのオススメはわからないです。あなたのことをよく知らないので、答えようがありません。」
こう答える。単純にオススメを聞いたところこの返答があったとき、お客さんはとてもビックリするとのことでした。
私はこれを聞いたときに、いたく感心したことを思い出します。
一見すると、とても冷たく聞こえるご主人のこの回答ですが、私にはこの回答はご主人の真摯さと誠実な生き方そのものが表れていると思いました。
対人支援の世界でも、相手のことを知らずして、関わることができないように、お客さんのことを知らずして、その人に合ったおすすめができないというご主人の姿勢には、目の前の人を大切にする誠実さがあると思ったのです。
私が大切にしたいこと
カレー屋のご主人は、好みも気分も知らないお客さんに対して、無責任に自分のオススメのカレーを薦めることはしません。まずは自分自身の作ってみたいカレーを作り続けること、そして相手との対話を通じて、その人に本当に適切なカレーを提供しようとします。
これは一見遠回りに見えるかもしれませんが、実は自分はもちろん、相手とつながるための、面倒臭いけれども、より確実な道なのではないかと思います。
このご主人との話を通じて、私は自分自身の在り方について考えさせられました。
「言いたいことがない」「ビジョンもない」私の過酷な超自我は私自身のことを責めていました。
しかし、実は私自身もまずは自分自身の感性と感覚に対して誠実であることを大切にすること。その不全感を実感しつつも、常に目の前の人と向き合うことで自分の軸を見出そうとしている。その人の現在地やニーズに合わせて最善を尽くそうとしてきたこと。
その自分の不器用だが一生懸命な関わりを少し尊く思えるように、自己の認識の枠組みに変化がありました。
私にとっては、派手な理念やビジョンを掲げることよりも、日々の小さな誠実さの試みの積み重ねが、結果としてまずは自分自身の人生をしっかりと生きることにつながっているのかもしれません。コツコツと目の前の仕事に向き合い、一人ひとりの相手を大切にする。
自分自身がまずそれを体現するなかで、ご支援させていただく組織や社会のなかでもその体現者を育んでいくこと。
それが私のいま取り組もうとしている「言いたいこと」であり「ビジョン」なのかもしれません。
思えば、妻がダウンしたときに私が選んだ行動も、まさに「目の前の大切な人との関係性を優先する」という価値観の表れでした。日常の何げない選択の中に、私が本当に大切にしている価値観は既に存在していたのです。
「何を語るか」よりも、「どう生きるか」。私が大切にしていることは、すでに日々の選択のなかにあったのです。
健康な心を育て、日常の瑣末なことをしっかりとやり、情緒的で親密な人間関係を築く。
それは派手な宣言や壮大なビジョンではないかもしれません。しかし、自分自身の居心地の悪さを自覚しながらも、目の前の一人ひとりとの関係性を大切にして誠実に生きていく試みを続けていくこと。
奇しくも妻が誕生日を迎えるこの春分の季節。
それこそが、私が大切にしたいことなのだと出会い直しました。
今後の活動のご案内
今夏スタート
このプログラムでは、コーチ、コンサルタントなどの対人支援者はもちろん、組織のリーダー・マネジメント層の方に向けて発達理論を活用した対人支援について、理論と実践を学んでいく6ヶ月のインテンシブなトレーニングとなっています。
ご自身のコーチング・コンサルティングなどの対人支援が壁にぶつかっている方、学ぶこととはどういうことかを知りたい方には発達志向型のアプローチは不可欠です。
ご興味・ご関心ある方、ぜひご一緒しましょう!
https://www.arukuki.com/developmentalcoaching
■早割期間は3/31までです。
ご検討中の方はお早めにお申し込みいただくとお得です。
2. 【少人数制説明会】 発達志向型コーチング トレーニングプログラム
上記のプログラムにご興味・ご関心がある方に向けて、少人数制の説明会を開催します。説明会では、みなさまが支援者・リーダーとして、お持ちの課題やお悩みにあわせて発達志向型コーチングをどのように活かしていけるかをご紹介いたします。
次回は3/31(月) 7:30pm-9:00pmです。
https://developmentalcoaching2025info2.peatix.com/
3. 【ゲシュタルト✖️家族療法】5/31(土) & 6/1(日) 家族という集団システムと個人の生き方の関係を紐解く2Days ワークショップ in 名古屋
5/31(土) & 6/1(日)
今年で4回目。土日開催に戻った通称:ゲシュカレー。
わたしたちは、家族システムと個人の生き方が深く結びついていると考えています。
親愛なるヒロさんこと野妻裕美さんをファシリテーターとしてお招きしながら、家族システムに焦点をあてたゲシュタルトセラピーを体験します。今年はARUKUKIからの家族システムについてのお話をさせていただく予定です。
家族についてともに学び体験しましょう。そしてカレーを食べましょう。
はじめての方も大歓迎です。
https://arukuki-gestalt2025.peatix.com/view
(編集後記 改め おまけ)
ARUKUKIのこっちゃんです。先日43歳の誕生日を迎えました。
朝から晩までお祝いに次ぐお祝いで、なんだかとても幸せな日でした。
私の中で、誕生日当日に起こったことは、その後の1年を象徴するものであるという考えがあります。
これに照らし合わせると、これからの1年は幸せに過ごせそうだということで、改めてしみじみと嬉しく思っています。
夫は誕生日や記念日を祝う能力に長けているのですが、私はそこは非常に欠けているところがあり、学ぶことが多いです。
夫の誕生日は春分の反対側の秋分の近く!
この体験を生かしお祝い頑張りたいと思います!
では!
季節のお便りいかがだったでしょうか?
ぜひみなさまのご感想やコメントもお待ちしております。
また、この季節のお便りのシェアは大歓迎です。
どうぞこれからも季節のお便りを楽しみにしていてください。
2025.3.20. 春分
ARUKUKI
奥野雄貴 & 松下琴乃
https://www.arukuki.com/
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